ひとりじゃない

あなたの不安を想像するたびに、
自分の胸に傷がついたように痛む。
その真面目さが、自分を追い詰めていないか。
ボロボロなのに、戦おうとしていないか。
大人になると、気持ちを張り詰めても緩める場所が少ないね。
それが孤独や不安だと、底なし沼のように
生きていてもずっと心のどこかが薄暗いね。
よくわかるよ。
その薄暗い部屋に灯りをつける方法を私は知ってる。
それは、抱きしめて頭を撫でてあげること。
背中をぽんぽんと優しく叩くこと。
髪を撫でていると不思議と落ち着くのは、
子供の頃の傷が癒えていないから。
私はまるで母親のような気持ちになって、
あなたの心の中の子供も抱きしめたい。
ひとりでいるときも、ひとりじゃない。
愛することは強くならないとできない訳じゃなくて、
教科書に書いてあるようなことでもないんだね。
欠けているところが模様みたいに素敵だ。
あなたがどれだけ傷ついてもいいよ。
全ての傷が癒せる場所をここに用意してるよ。
戦えなくなったら逃げてもいい。
確かなものがひとつあれば、
あとはなるようになる。そうだよね。
抱きしめれば、違う体温を感じる。
それがひとりひとりでいられる幸せなのかもしれない。

温かい布団の中で、
母親に絵本を読んでもらいながら眠りについたあの日のように。
いつもここに用意しているよ。