買い出しを終えてマンションの下についた時、

自動ドアの所でカナブンがひっくり返っていた。

両手に荷物を持っていた私はそのまま家の中に入ったけれど

玄関に入った時にふと「あいつずっとひっくり返ってるのかなぁ」と思い

荷物を置いて自動ドアに戻ると案の定ひっくり返っていたので元に戻す。

草があるとこに持って行こうとカナブンを手でもとうとしたら

「掴むんじゃねぇよ」みたいな感じで力んでいたのでそのままにする。

昔から自分でも不思議なほど虫に心を寄せる私がいる。

子供の頃には残酷な子供の行動に心を痛めた。

「その虫が君に何をしたというのだろう」と思っていた。

とはいえ私も勢いで蚊を殺した時にひどいショックをうけるものだ。

前世は虫だったのかもしれない。

この間久しぶりによだかの星を見て泣いた。

自分を含めた人間がたまにとても傲慢に思える時がある。

むやみやたらに主張をする。

自分の考えが正しいと。

誰が誰に勝っているとか、自分のものだとか、

これだけは欲しいとか、これはやらないとか。

そういうものが見える時なんともいえない気持ちになる。

損得でもなく、喜怒哀楽でもなく、勝ち負けでもない時が愛おしい。

人はとても汚い。だからこそ美しさもまたあるのかもしれない。