孤独な夜に

誰も本当の事を言わないと言いながら

本当のことを言わない人

けれど人の心に鎧は着せられないから

守っているつもりでもいつでも生身なんだ

手にとるようにわかる

怯えているとか 落ち着いているとか 高揚するとか

体だって似たようなものだ

時折どうしようもなく理不尽なことが起きる

その度に人はその出来事に意味を見出そうとする

そうでもしなければとても耐えられないから

幕は突然おりたりもするものだ

さようならも言えずにおりたりするものだ

胸を痛める

感じることしかできないというのは

なんの役にもたたないのと同義なのだろうか

感じるだけ心を消費して無駄だというか

孤独は消えない

人はひとりきりで

そばにいてほしいと思う時ほど

大抵そういう時ほどひとりだ

静まり返る部屋で

また騒がしい街角で

痛いほど感じてきた

あの情熱は

憎しみの火に勢いをつけるのだろうか

それならばせめて悲しみの雨で

あの火を消して暗闇に包まれて

そしてそっと悲しみに暮れればいい

しかし共に暮れたとしても

人は同じにはなれない

人々が口にするような慰みは

もう察しがついてしまう

心が震えれば震えるほどに

それが孤独に拍車をかけるとは

皮肉なものだ

音は奏でるもので

飲み込まれたら最後帰ってはこれない

純粋と刃は同じようなもので

それに立ち向かうということは

自分が切られることなど承知の上ということだ

それでも裸の心のまま立つというのなら

孤独はもうわかったと納得するのだろうか

否するはずがない

問題の根源ではないから

わからぬふりをするのだろ

優しさは不確かだが痛みは確かだと言い訳しながら

いつまでこの流れの中に身を委ねている

ひとりきりで

全てがゼロになる日まで