ここにあってここにはない

九月十五日。霧雨。

都内二箇所の病院ツアーの一日。

恒例の婦人検診と皮膚科。

向かう電車の中で年の頃六十くらいの男性が

ひとつあけた隣の席に座っていた。

その空いた席に同じ年頃の男性が座ろうとしたら

「ここは俺が座ってるんだ。あっちも空いてるだろ」

と言い威嚇。

言われた男性は顔色ひとつ変えずに別の席に座り読書。

何も口にせず、周りに座っている人たちが

「なにこいつ」みたいな顔色になるのが面白かった。

何に対しての威嚇なのだろうと考えていると

その威嚇した男性は扉が閉まる直前に席をたち車内からいなくなる。

一体なんだったのだろう。疑問。

 

皮膚科で先生に「ここの私の穴ポコなんですけど」と伝えると

「あぁ、毛穴ね」と言われる。

治療後にひとりで穴ポコってなんだよって突っ込んで

吹き出しそうになるのをこらえるのに難儀した。

穴ポコ…

私はものの名前を覚えるのが苦手で

この間は死霊のはらわたをはらわたの煮えくりと言い間違えた。

覚えるものが多すぎる気がする。

私の近くにいる人は私の謎々を解く係となる。

「ほらーあれなんだっけ、あの四角い店」

とかいうとさすがにわからないよと非難される。

お薬をもらった後に会計でお金が足りなくておろしにいく。

その後戻って会計した時に

会計の女性の方が突然口元に手を当てたまま十秒ほど動かなくなる。

どうした…親でも殺されたのか…と心の中で思っていると

「ごめんなさい…ひとつお薬の料金をいれわすれていました…

せっかくおろしてきてくれたのにごめんなさい」とその女性。

なんだそんなことかそのためにお金をおろしてきたんだから

全然気にしないでくれよベイビー

と花輪くんばりの紳士的な返しを心の中で行い無事終了。

今日はなんだか体がすごく軽くて良い調子だった。

鼻づまりは相変わらずだけれど。

プリンを買って帰宅。ポトフを作る。

具材をざくざく切って炊飯器にぶわーっといれて

スイッチぽーんと押して出来上がり。

この間美味しい中華料理食べた。

店員さんが水を飲んでるか鼻歌を歌ってるか

あくびしているかの繰り返しで面白かった。

ポトフを食べたあと歌をうたったり今後の事をメモしたり。

もうそろそろ今日は終わりになる。