僕を忘れるでしょう

 

暗闇を手探りで歩いている

ここには誰もいないはずなのに

どこからか足音が聞こえる

たまに立ち止まったり

また歩く音が聞こえたり

僕もまた立ち止まったり

訝しげに足音を立てずに歩いたりしていた

ここは真っ暗闇だから

誰もいないと思っていたよ

今も少し思っているけれど

この道の途中で

他人の指に触れる日がくるなんてね

君もまた手探りのまま

この日まで歩いてきたんだね

指先で髪の毛

顔 首 体を触って確かめる

いたんだね

ここにいたんだね

僕だけじゃなかったんだ

優しく抱きしめなくていいから

僕を傷つけてくれないか

その方が君をずっと覚えていられるだろう

僕はずっとひとりなんだ

これから先も たぶんだけどね

孤独は人に打ち明けられるもんじゃないよな

でも君がもしそういう相手と巡り会えたなら

その時は簡単に離しちゃだめだよ

大人になんてならなくていいから

孤独を通わせられる人と巡り会えた時は

涙が出るほど好きになる時だよ

涙が光る 暗闇の中で

泣きながら笑いながら抱き合えばいい