涙流す人

先生の講義中に涙していた

あの青年は今頃何をしているだろう

.

今も先生を思い出すだろうか

それともそばにいるのだろうか

.

あの講義中に

あれほど食い入るように

あれほど何も聞き逃すまいと

先生の声に

先生の一挙手一投足に

集中していたのは

私と彼だけだっただろう

.

彼の胸に美しく燃え上がる火は

まだ彼の胸を輝かせているのだろうか

どんな時代になっても

どんな人に揉まれても

その火を消すことは出来ないだろう

私はそう信じている

.

彼とは一言も会話をした事がなかったけれど

話の合わない知り合いよりも

よほど私は親密に感じている

同じ美しさに魅入られたのだ

別々の道へ歩いていっても

私は先生の火を絶やさない

彼もそうであってくれたら良いな