良い歌をうたっている人だった。
私が良い歌をうたうなと思う人なんて指折り数えるくらいしかないから、
本当に良い歌を作って歌っている人だった。
この世は地獄だと言う人もいる。
作り手は、後ろに大きな黒い物体があって、普段はあくせくしてやるしかないと
前を走っているけれど、
ふと立ち止まった時、後ろの大きな物体にたいして振り向くと
もう生きてはいけない。そこで振り向いては絶対にだめで、
だから後ろにあることを感じているけれど前を見るかその場で立ち止まるか、
それだけをする。黒い物体を見たら終わりだ。
そういう話しをにゅすけと前にしたことがあったけど、
これは作り手に限らず多くの人もそうだと思っている。
良い歌をうたう人には、これは誤解をうむ発言かもしれないけれど
本人がどんなに苦しくても歌い続けてほしいと思ってしまう。
それが苦しくなるほどに良い歌となっていくのならなおさらに、
苦しむこともむしろ良いことではないか、どんな苦しみがあっても歌だけはやめてほしくない。
それは裏を返せば生き続けてほしいということだけど、
必ずしもそれが出来るとは限らない。それはみんなおなじ。わたしもおなじ。
目の前に起こった出来事から人は何かを学んで生きていく。
私は歌う。自分を変に守ったりするのはやめた。人生は限りがある。