喪失の恐れと痛み

風が吹いている見知らぬ部屋

この風はわたしにとって居心地の悪い何かを感じさせる

細長い部屋の先端まで歩いていくと

キリスト教的な古びた緑色の厳かな扉が開いていて

そこが風の発端だった

 

わたしはそこで大切な人を突然失った

連絡手段はなく どこにいるかもわからない

もう会えないということだけはなんとなくの予感でわかった

 

絶望的な気持ちで街を歩き

そこで会ったしょへさんに

「あの人がいなくなってしまった」と泣きながら話すと

なんだか訳のわからない返事をされて

そこで目が覚めた 午前四時だった

 

私の中に眠っている恐れはここに集約されていると

目が覚めてすぐに気がついた

夢はいつも私が必要だけど思い出せないことを知らせてくれる

 

特段重症でもないのにお腹が痛いなぁと横になったり

歯の治療の後に麻酔の周りに大きな口内炎ができたうえに舌を噛んで痛かったり

ここ数週間痛みが私につきまとっていた

付き纏いながらも

自分に欠けている何かを見つけようとしていた

でもこれは意識の中ではそれらしい答えにしかたどり着けないような

もどかしい気分でいた

 

最悪な夢を見たあとで

夢の中で感じた喪失への恐れは

私の根源的な恐れなのだとはっきりわかった

 

自分に必要なことは

願っていた声の通りに過ごそうと行動していくことなのだと(もっと真摯に)

そう意識では思っていたけれど

その願いを阻んでいるものは夢の中で見た恐れの部分だった

 

そして恐れが表出したものが痛みなのではないだろうか

探偵のようにひとつひとつのパズルを見てまわった

 

昨日描いた絵はひとつ脱皮できたような感覚になった

より自分に近づいたような。

体と心と記憶は如実に繋がっているんだなぁと感心した。

生きてるかぎりこの旅は終わらないだろう。