正しいばかりではいられない

友達の家族の苦労を聞きながら
新曲のタイトルはその人に心を寄せ名付けた
明け方の5時過ぎに歌詞を書き終えた
台湾のステージに間に合ってほっとした

遠い昔に起きた事件を調べていた
その人の無念や悲しみや恨みを思う時
私もまた同じような気持ちになった
その人は沢山の人を殺し
最後に自分を殺して人生を終えた
もっと強く生まれたかったと遺書を残して

人の感情は
簡単な善悪や道徳や常識では測れない時がある
自分でもわからなくなるくらい
何層もの気持ちが積み重なっていたりする

幸せで 笑顔で 明るくと追い立てられて
その人のもつ悲しみが
迫害されることのないように
なかったことにされた感情は
忌み嫌われる感情は
置き去りにされて怒りに変わり
自分や人を深く恨むようになり
取り返しのつかない深さの傷に変わるから
心の豊かで小さな怪獣が傷つき泣き止まずに
全てを破壊してしまうほどの巨大な怪獣に成長する前に

どんな感情だとしても
芽生えたものには理由があるから
無理に無くさなくていいと私は思う
悲しい時に笑顔にならなくていい
心が深く傷ついたのなら思い切り心の中で人を恨んでもいい
自分の心の名誉を回復させるために
上っ面じゃない幸せをこの先に感じられるために

正しいばかりではいられない