君には聞こえるか

沈黙の奥に歪んだ薄い膜

微笑の奥に歪んだ薄い膜

その薄い氷の膜が壊れる日までは

熱くもなく寒くもない日々を過ごす

 

その薄い氷が割れれば転落へ一直線

それまでは自分を麻痺させて日々を過ごす

自分を見つめないことは現代では容易だ

 

腹がすかないのに飲み食いを続け

スマホをスクロールし続け

動画を見続けるだけでもいい

薄い氷が割れる日まで

 

ジャンクフード アルコール ネット エロ

 

俺を起こさないでくれ

頼むから俺を起こさないでくれ

放っといてくれ 構わないでくれ

 

許されるという感覚が少ない社会

規制線はあちこちに張られる

その線の中で利口に生きられているふりをする

 

私は大丈夫 私はまだ大丈夫

あの人よりは幸せ この人よりはまだまし

 

その奥でグツグツ グツグツと

薄い氷が割れるほどの湯が沸く

怒りか 不安か 絶望か

 

頼むから

そういうのをないことにしないでくれよな

いきなり発狂して自分や他者を殺す前に

自分を取り戻すんだ 目を覚ませ

君が怒っても起こしにいくぞ

 

いかにこの常識や世間が馬鹿馬鹿しいか

馬鹿馬鹿しい渦の中でがんじがらめにされているか

気付いてくれ 気付いてくれと

自分の中にいる自分が伝え続けている

怒りにも似た声で

その切実な声が君には聞こえるか