夜明けを自分に重ね合わせた。

九月六日。天気不明。

タイにいた時、いや、もう少し前の時から感じていたこと。

感じているというよりも、もっと感覚的な感じ。

「予感」くらい動物的なもの。

それはもうここにはいられないな、というようなもの。

もう、今までのようにはいられないな、というようなもの。

自分が惰性で行なっていたこと

自分が仕方ないからと自分をおさえていたこと

自分が周りをみて合わせていたこと

そういうものを一切合切捨てることになるだろうな

という予感めいたものがしていた。

そしてタイの慌ただしい中でも、それを感じていた。

帰りの飛行機で全然眠れなかったのは

その予感を、現実にする時がきたような感じがしたから。

夜明けをみながら、自分に重ね合わせていた。

ほとんどの人が寝ている飛行機の中で

私は目をこらして窓の外をじっと見ていた。

そして自分の中の何かが死んで終わっていくのを確かに感じた。

そしてすでに新しい芽のようなものが準備していることも

感じていた。

細胞が死んでまた生まれていくように。

自分もまた死んでは生まれ変わることをこの先もずっと

繰り返していくように感じる。

そして肉体は少しずつ衰えて、死に向かう。

こんなに自然な循環というものに抗おうと思う気持ちがわかない。