夏の夢。

夏の雨。健康。密室。鍵。

果たせなかった約束が

たまに僕を恨めしそうに見つめるよ。

朝になるまで話した内容は

何も思い出せない。

眠ってしまえば

もう現実が来てしまうからと

夢みたいな時間をずっと

塗りつぶしていた。

たまに昔の携帯電話に電源をいれるよ。

何をするわけでもないんだけど。

誰にも触れられない心の場所

触れ合ったら壊れちゃうかと思って焦った。

今思い出すと笑ってしまうけど

あの時は死ぬかと思うくらい

苦しかった。

絶望的になってひとりで途方に暮れた。

今思い出すと笑っちゃうんだけど。

悲劇は喜劇にもう変わったんだね。

剥き出しの心に触れるのは

本当に危ないことだと学んだよね。

羨ましくなるほど子供だったんだ。

今君と会えたら

きっとその時のこと

笑って話せると思うんだけどな。

あの時は馬鹿みたいに怒って泣いて取り乱して。

離したくないものほど

必死になって握りしめて壊してしまうんだね。

僕は本当に馬鹿だったけど

そんな愚かさが今では少し愛おしいよ。

本気はいつだって愚かしいのかもしれないね。

そう客観視できるようになったことを

成長したと感じる反面

そんな自分を退屈にも感じているよ。

達観したくて生きているわけではないからね。

 

心の中の部屋にはいつも意味と言葉が溢れて

その中で夢を見ている僕だけど

この部屋の話は今のところ誰にも通じないから

僕はいつもその部屋で夢を描いている。

表では笑って恙無く周囲の人々と過ごしている。

本当は話し相手がほしいけれど

現れてしまっても困るかな。

僕に足りないのは間違い無く勇気だろうね。