創造

想像のできる範疇のことには惹かれない。

百人の人が目を見合わせながら

これは素晴らしいと口を揃える意見よりも

一人の人がそれは退屈ではないか

という言葉の方が

私にはリアルに感じる。

それが創作の原点。

皆、一番に言いたいことを言えない。

二番目に言いたいことのみを言える。

顔を向かい合わせ、

これなら口にしても恥ずかしくないと。

そうして自分をコントロールする。

それでも消えない心の一番綺麗な場所。

その本当の場所を

私は愛している。それを信じている。

だから一番の想いを芸術に託す。

二番目は多くの歌手が歌う事だろう。

夢物語と知りながらも

それを信じたい想いをもつ

その自分を信じたくて

その芸術を愛する人もこの世の中にいる。

裸の君。

大衆の前で隠しておくべき君。

その芸術は愛想の良いことを言わない。

綺麗事も言わない。慰みもない。

耳障りの良いことは何も言ってくれない。

それでも居心地の良いのはなぜか。

それは嘘をつかないからだよ。

みんな大嘘つきだ。

面白くないのに笑ったり

全然良いと思わないのに良いと言ったり

そんな奴らばかりさ。

けれど本当を知っている芸術家は

決して嘘をつかない。

その代わり

良い人でもない。

都合の良い人ではいないんだ。

人のために生きているわけじゃないからね。

 

人間は全然綺麗じゃない。

その醜さを苦しいほど感じながら

それでも信じる美しさを生きる。

自分をごまかすことのできない

正直で哀れで

とても綺麗な生き物だと思う。

私は本当のことを愛したい。