死して残る想い

日本の誕生花を見ていると

私の誕生花は「二人静」という花だそう。

能の物語で二人静というものがあるそうで

気になり調べた。

 

源義経の愛妾である静御前は芸能では有名な人間であった。

彼女が死したあとも幽霊となり

吉野勝手明神に使える若い女性に取り憑き

私のために一日経を書いてくれと神職に頼む。

弔うのでそれならば舞いを踊ってみせてくれ

という神職の言葉に従い舞いを踊るというもの。

はじめは取り憑かれた女性の体を使っていたが

いつの間にか静の幽霊が現れて二人の女性が舞いを踊る。

 

静御前は生前に義経と逃亡の際に行き別れになってしまう。

静御前は頼朝に捕らえられ

舞いを舞うように強要されたときには

義経を想う歌をうたい頼朝を激怒させたという。

また身篭った義経の子供を由比ヶ浜に捨てられるという悲劇もあり

静御前の舞いには義経への愛しい気持ちと悲劇とが溢れ出る。

その静御前の舞い姿を

能を見に来た客席も一緒になって見守るという内容だった。

悲しくも美しい物語の名前がついた花が誕生花だった。

 

大金を積まれても権威を振りかざされても

人が人を想う心というのは変えることができない。

誰の手をもってしてもコントロールできない想いというのはある。