言葉はまるで雪の結晶

この間、父親が見てたサスペンスで

犯人が桜の木をノリで折ろうとしたら

それを止めようとした人と口論になり

止めようとした人がそれにより死んでしまい

犯人が一緒にいた女性に「誰にも言わないでくれえ!」と懇願するという

こんなにくそほども共感できない話しってある!?という内容で驚いた。

殺された人は桜を大切にするに至る過去の描写がわりと丁寧に描かれていたけど

犯人側の心理描写が少なすぎるっしょと突っ込まずにはいられなかった。

 

私は何かを落として何かを持ち上げる賞賛の手法が好きではないんだけど

(あの歌手よりあなたの歌のほうが良いわよ、みたいなやつ)

偶然とそうなってしまった。

 

サイレントの最終回を見た。

こんなにも心理描写とやりとりが繊細で丁寧な日本ドラマに

私は初めて接触した。(私が知らないだけかもしれない)

好きな役者さんが出てるから見たドラマもあるけど

その役者さんが出てなきゃ絶対見ないなと思うものが多かった。

 

ちな私が好きな日本のドラマは王道だけど古畑任三郎、

リーガルハイ、他にもありそうだけど出てこない。

ネットフリックスだと断然シッツクリーク。

コメディが多い。

 

サイレントはコメディ枠では全然ないのだけど

視聴率がすごい良くて話題になってるのを知って見てみた。

シンゴジラが流行った時に、これをたくさんの人が評価したという事実が

誇らしい気分になったんだけど(だれ目線なのか)

それに近い気分になった。

 

 

サイレントのドラマを見たバブル世代の方の感想で

「最近の子はこんなに丁寧なやりとりをしているのかと

驚いた。私の世代の恋愛ドラマはすれ違いや波乱やで騒がしかった」

みたいな意見があった。

同じくらいの世代の方がボイシーで「バブル世代の僕としてはもうちょっと最後に

ひと波乱が欲しかったですけどね」と言っていた。

この世代ごとの感想も面白い。

 

サイレントは私よりも下の世代っぽい感覚が私的にはすごくしていて(脚本家の方が29歳だそう。)

私からするととても勉強になる。

若い世代は子供の頃からSNSが当たり前にあるため

常に人目があるものとして生きている感覚がデフォルトであるらしい。

だから、協調性がすごくあるようだ。

このドラマも、男女の性欲的なものとかの本能というよりは

非常に理性的で、人と人が違いをどう言葉でわかり合っていこうとするか。

そういう事に焦点がおかれていたので、キスシーンも最後までなかった。

私より上の世代は言葉にして伝える理性的なあり方って苦手なんじゃないかなと思う節がある。

もちろん人によるので得意な人もいるかもしれないけど、

理性をもってすれ違っても丁寧に伝えることを諦めない姿勢が

この若い世代にはあるのだなと思うとすごくその姿勢が勉強になる。

 

バブル世代は逆にそのすれ違いを本能で埋め合わせるという

そういうやりとりをドラマだとして感じていたのかな?憶測でしかないけど。

私もそういう作品は沢山読んだし、そういうのをドラマとかロマンと思う節も

なくはないけど、現実はそういうものだけで人とのやりとりをしようとするってのは

なんか無理があるというか動物に偏ってるなという気持ちもあるので

言葉を使って、相手との会話を丁寧にかわそうとする姿は

非常に非常にリアルだった。

 

逆をいうとエンタメとしての非現実性は皆無なのだけど

一見すると地味だと言われそうなこれだけリアルなやりとりが

ドラマになりそれが高評価を得るという事実に嬉しい気持ちになった。