目に見えない贈り物

鷺巣さんの「歌がうまい人とは」講義がすごくて

感動してしまった。

 

「エンジニアとして上達するためには

いかに多くの女性の歌を録ったかが大事だ」

というのも面白かった。

男性よりも女性シンガーの方が神経質で繊細な人が多く

「飲み物のむ?」などの細かい気遣いももちろんだが

歌い直しをする時にいかに女性シンガーの気持ちを損なわせずに

正確な判断を下してどこをどうした方が良いかを伝えられるか

が大事だから海外ではシンガー専門のエンジニアもいるくらいらしい。

ちなみに女性シンガーよりも録りが面倒なのは

女性シンガーソングライターらしくて笑ってしまった。

きっと「作っている」という部分の誇りやこだわり、

ビジョンが細かく存在しているからだろう。

 

この「的確に判断を下して相手に自分の意見を伝えようとする努力」というのは

誠実さとも言い換えられると思う。

 

私は歌う立場だからってそこをおざなりにしたくないし、

これは音楽の仕事以外でも、むしろ仕事以外でも大事だなと感じる。

直感だけでもなく、知識だけでもなく、自分だけでも他人だけでもなく

多くのものが混ざり合って生み出されていく。

 

話は変わって

もう謝れる相手がいないという後悔は底なしのように深い。

時効もない。罰もない。自分を責める人もいない。

相手を許せないより、自分を許せない方が重くのしかかる。

悔いるのも優しさから生まれたもの。学びでもあったのか。

学ばせてくれたのだね。

自責の念ほど思いやりが深い。

ほとんどの人が後悔を引きづりながら歩くけれど

その過去まで戻れることはない。

戻れないかわりに、今日も夜がきて、新しい明日が用意されている。

誰からのプレゼントだろうね。

苦しみがなくなることはない。

いやなくならない方が良いのだろう。大事だから起こった。

せめてその苦しみを乗り越えられるように、

心に少しだけでも静けさが生まれるように今夜私は祈る。