立入禁止

もう眠りたくない

朝が来たと思いたくないから

背中越しに話しだす君の体が憂鬱な温度で

時折溜息のように深い息遣いをする

僕は眠ったふりをしながら息を殺す

君は枕を僕に叩きつけて揺さぶる

怒鳴るように耳元でいう

もう眠りたくない

朝が来たと思いたくないから

 

朝が君に何をしたの

気怠く質問すると

どうしてわからないの

どうしてわからないの

波打つように僕を叩く

額の汗で前髪が肌から離れない

君の汗が僕に滴り落ちる

なんて綺麗なんだろう

 

細い腕を引き寄せる

僕は君じゃないからわからない

わからないからわかりたいと思うんだろう

わかりたいからそばにいるんだろう

 

抱きしめて暫くすると 疲れた君の寝息が聞こえる

明日になれば また笑って問いかけるだろう

今日の朝ごはんは何が食べたいかって

昼間にはお弁当をもって公園で本を読んであげるって

でも君は夜の話はいつもしない

君は朝が怖いんじゃない

朝を連れてくる夜が怖いんだ

 

僕らは太陽が昇る間よく喋ったけれど

日が沈みだすと君は極端に無口になった

僕も話さないように気を遣った

その空間も 嫌いじゃない

 

眠りたくない 起きたらいつもひとりなの

眠りたくない 起きたらいつもひとりなの

 

君の手を握る

それじゃぁ君が起きるまで僕は起きている

悪夢で目が覚めても 僕がいる

 

怖いの  怖いの

そんなに優しくしないで

失うのが怖いの

私といても楽しくないのに

そんなに優しくしないで

無理してそばにいないで

 

君が堕ちる時は僕が堕ちる時だよ

それでいい  臆病で美しい人

何も言わなくていい  君は僕だ  僕は君だ

誰もここにいれないようにしよう

いつまでも