死ぬことがわかっているものができる褒美

言葉に表せない混沌と暴力的な気持ちを

音楽に変えて代弁されたそれを夢中で聴いた

性行為よりも音楽の方が気持ち良かった

恍惚感と快楽にいつも溺れた これが合法とは

 

世の中のつくりものの美しさと

誰もが本音をひた隠しにしながら

愛想笑いを続けることがさも平和かのように宣う退屈さを

その音楽が蹴散らしてくれるようだった

 

あそこには何も存在していない

これが大人になることだと言いたげな者もいた

それが大人になることだとは思えなかった

諦めを知ることと怠惰でいることをごちゃまぜにしているだけだろ

あいつらは逃げてるだけだと思った

心のひりひりした部分から

自分のやらなきゃいけない使命感というくだらなさから

虚しさを感じるのは自分が暇な選択をしているからだろと思った

ひた隠しにしてごまかしてそれを大人かのように振る舞うやつらに

全部表にされたものを裏にしてやりたい気持ちになった

 

十年近く経った後で

それは自分自身に突き付けられることになる

お前が生ぬるいよ

私は自分にそう思った

なんの責任もないやつが高台から何を言ってんだよ

生温いと言われた私は何を言い返しただろう

笑っていただけだ 苦虫を潰したようにして

 

自意識過剰で自分の世界で生きている人間は

そうなっていく

社会ではなく自分の世界の中を生きている

だから怯えるのだ

自分の中の殻を壊されることを怯えて

自分の自意識過剰さに心がひりひりして

怯えてなんの行動もできないくせに

口ばっかり達者でいやがる

 

小説の中に出てくる人間なら絵にもなるが

現実になるとそうもいかない 無様だな

殻を破ってみた自分の本体のなんとしょぼいこと

それに笑えた時が 正気に戻った時

 

世界がどうとか 他人の音楽がどうとか

社会がどうとか ひとまず置いといて

てめえの行動を見せてみな

くだらないやつを見せてくれ

それが命の輝き

 

他人の目で決めるな 立派になろうなんてしないでくれよな

心の奥の一番美しい部分を研ぎ澄ませて表に出して叫ぶ

正気に戻ってもくだらないのは同じだった

行動 行動 行動がすべて

 

せめてこの一時間は集中しててくれ

自分の中に夢中になって走り回ってくれ

それを表現にして外側に放ってくれ

好きに描く 好きに放つ 好きに叫ぶ

死ぬことがわかっているものができる褒美

 

くだらないよな それが最高なんだ

自分を持て余すとろくなことを考えないぞ人は

誰かや何かよりもまず

自分を暇にさせないことがいい 手加減なしで

本気で遊ぶ 何が見えるだろうね

何を感じるだろうかそこから

 

答えだと思ったものは次にはサラサラと手から流れていく

答えに価値を置くと身動きが重くなる

答えは常に変化していく 自分自身も変化の中

 

人の一生など人の出した答えなど大したものではない

だからより生々しいものを 本気になれるものを

そこに身を投じる 命を使いきる