必要なのはもうひと押しの精神

1.

むかしむかしアメリカ西部で

金脈を掘り当てようとした男がいたが

結局掘り当てることができず、諦めた。

しかし実は91センチ先に金脈が存在していた。

そして次にやってきた男が、すぐにその金脈を見つけ出した。

 

という有名な話がある。

 

筋トレで筋肉がつくのは

「もう限界!!!!」と思った回数のその次の回数だという。

限界で辞めず、限界のもうちょっと先に行くことで得られることがある。

<筋トレ人間>

 

この「常にもうひと押しの精神」で最近は制作している。

 

 

2.

今まではトラック制作はアレンジャーさんやしょへに投げていた。

私は要望を言ったり必要な時だけ参加していた。

なぜなら、詳しい人に任せた方が良いに決まっていると思っていたからだ。

 

しかしそう思っていた頃の私に図星の言葉を差し上げるなら

「それ、ちょっとめんどくさいしって思ってるとこありません?」だ−−−

これを過去の私が聞いたら

もっともらしい言い訳をしたあとに

虹色の血反吐を吐いて虫になって飛んでいくだろう。(どんな世界観)

 

 

3.

今制作している楽曲はすでに今までで一番聴いた自分の曲だと思う。

 

仮の録音で何回もカラオケに行ったので覚えられた。

ハキハキしているけどちょっとドジっ子な女性店員さんと顔見知りになり

私が行くと「5階ですよね?」と誰もいない最上階に通されるようになった。

 

「いつもの」が通用する日がくるとは!!!!

ちな最上階の理由は、仮ではあるけど

録音する時に周りの人の歌声が極力入ってほしくないため。

 

 

悩んでも「もうひと押しあるんじゃないか?」

歌っても「もうひと押しいけるんじゃないか?」

そういう気持ちでやってると、能動的な気持ちがわいてくる。

<ピアノを弾いてる風なわたし>

人に任せていた頃の私はこの気持ちにはならなかった。

 

 

4.

しかし私は音楽の勉強をしてきた人間ではない。

なのでアレンジだって理論的ではない。甘さも沢山あるだろう。

 

しかし今の私が求めているのは

ひとつ前の自分の作品&過去の自分よりも

ワンステップあがったところに成長することであり

何よりもまず最初に自分というリスナーを納得させることである。

 

うまいやつは、知識豊富なやつは、ちゃんとできるやつは沢山いる。

それはそいつらに任せればよい。

 

昔、恩師に言われた言葉

「シギは綺麗にうまくやるような

アーティストじゃないだろ?」を思い出す。

(でも汚くて下手にやるアーティストだと変換すると

ちょっとウケるしそれはそれで避けたい)

 

私が感動するのも、興奮するのも同じ類の人は多い。

しかし、うまくやらなくたっていいというのは

そのままでいいという訳ではない。

自分が望むビジョンに到達するためには

学び続けることが必要だ。

 

それってなんかめんどくさい?大変そう??ノンノン!!!!!

もっとすげえ自分になって自分をさらに大好きになると思うと

わくわくするじゃねえっか!!!!!!

 

自分の音楽を一番最初に聴くのは自分だから

自分というリスナーを興奮させねばならん。

そして自分というリスナーは色々な音楽を聴くので

どんどん手強くなる。そいつを唸らせるんだ。

 

もっと自分自身にクリエイティブに!自分が面白がれるように!

創作を流れ作業にしてはならないのだ、俺よ!!!!

 

そんなこんなで

もうひと押しの精神を意識するようになってから

どんどん制作が楽しくなっている。

20年以上制作をしているけど

まるで最近音楽を始めたような気分で、しょへさんとの関係もより良くなった。

 

しかし録音においてはもうひと押しの精神をやると顔面の正気を失う。

何かを得るということは何かを失うということ!

<正気を無くしたわたし>

 

最後に注意点をひとつ。

これは自分がやりたいことのみに有効である。

やりたくもないことや命令されてひと押しをし続けていると

メンタル崩壊し病気になり過労死してしまうので

自分の意思でやる分にはかまわないが、人から言われたことには注意が必要である。