心が不安で薄暗くなったのは
自分でも驚くほど些細な出来事から
それをいつまでも引き摺るのは
君への甘えなのだろう
灯りを灯せば眩しいと怒り
灯りを消せば暗いと泣くような
我儘な私をあやす君は
眠い目をこすりながら
でたらめな物語をよく聞かせてくれた
その声を聞いていると
私の心は湖のように穏やかになった
ある日は不安という妄想の怪物を描いてひとり悲しむ
君はその悲しみに寄り添って困った顔をしていた
時には街へ出て子供のようにはしゃいだりするのを
君も同じように笑っていた
君のいない時間は寂しい
悲しみもなければ喜びもまたない
テレビも灯りもつかない部屋で
健気に飼い主を待ち続けるペットのように
沈黙を飼い慣らしては
君の帰りをずっと待っている