自発的な人助け魂が発動しラジオの収録後にさらに車を走らせる。
久しぶりに高速を飛ばした。
夜の高速はどうしてこんなに綺麗なんだろう。
静かに街灯がひとつひとつ空間を優しく照らす。
車内はもうこの時代にはいない人の歌声だけが響く。
疲れが車のスピードではがれていくような感覚がした。
孤独が踊るように微笑む。
暗闇の中にひっそりと潜む建物が魂の抜けた生き物のように見える。
彼等は人と共に生きているのだろう。
昔の人が歌った愛の歌、昔の人が愛した映画。
命の期限もなく静かに息をしているものが、
夜になると聞こえてくる。
車内に乗り込む君の疲れた顔さえも
この夜の一部のように見えて居心地を良くした。
このままどこかへ行ってしまいたいくらいに。