君と出会って

自分の中の半分の自分に嫌悪していた

その事も久しく忘れていた

 

山本常朝は芸能をことごとく否定した

その意味する所がなんとなくわかる

 

半分の自分の姿勢に対して

これがありのままの自分なんだと開き直れるほど

無礼な人間にはなりきれなかった

だから君の姿勢を見ていて

自分の半分が浮き彫りにされた

 

道を外れてはいないかと

誰かに問われたような気持ちになった

 

憧れはいつも

私の正反対に位置して

私を叱責しているように感じる

夏の逃げ場のない陽射しのように

 

しかしそれらの厳しさはいつも

研ぎ澄まされていて温かい

気高いのだ

 

学生の頃

先生に会う時はいつも

憧れと恐怖が混ざり合っていた

その時のことを懐かしく思い出した

 

自分がどんな姿勢に憧れていたのか

君と出会って大切なことを思い出した

 

今夜の孤独は愛しい

ひとりの旅を歩む幸福さに包まれる

雨が優しい

 

今度久しぶりにあの場所へ行こう

あの時の自分に会いに行こう

 

「まずは自分に恥ずかしくないように」

作業の合間に なんとなくギターを手にとって

君のことを考えながら歌った

 

空白の時間も想う

今だって君は特別な人だ

あの時から何も変わらずに特別なんだ