醜いほどに美しくなる

十月二十八日。晴れ。

悲しみを編み込んだ繭の中で

膝を抱いて眠る

君の低い声が

随分落ち着いているのは

悲しみというより

諦めという成分が強いのかもしれない

それが耳元から入ってきて

僕の胸に纏わり付いて離れないよ

君の世界はなんて静かで綺麗なんだろう

誰の声もしない

君以外はここにいないんだね

誰も知らない新雪のように

守られてきたんだね

君の世界が好きだよ

君の声に意識を集中させると

僕の中から何もなくなるんだ

必要なものもそうでないものも

全てが剥がれ落ちて

僕の肌には君だけが触れているんだ

全てが君で満たされていって

僕はその世界の中で窒息してしまいそうだよ

それがたまらなく心地良いんだ

もうそこから抜け出したくなくなってしまうくらい

君の重力に惹かれていくのがわかるんだ