髪を切りにいった。
いつも髪を洗ってくれる女性と源君話に花を咲かせる。
その女性は星野源さんの大ファンなので、
必ず会うと「最近源くんどうすか?」と毎度話を振る。
星野源さんと私の周りに若干の接点がある事が
判明したのでその話を早く聞かせたくて
会えるのを楽しみにしていた。
ひとしきり話した後で、
「シギさん今年の目標はなんですか世界征服ですか」
と言われたので
「いや今年は埼玉征服あたりですかね」
と返してふざけたあったあとに、
「実は私来月でこの仕事やめるんです」
と小声で言われて驚いた。
雑誌の編集の仕事がしたくなって
美容師をやめて勉強することにしたよう。
前に私の髪を切ってくれてる女性が、
「人の髪を切れるまでは何年もかかるこもいて、
本当に大変なことなんだよねえ」
と言っていたのを思い出す。
髪を洗ってくれる女性は、
何年もお世話になっていたけれど、
髪を切る係になったのはわりと最近のことだったと記憶している。
「髪切れるようになったんだ、
出世したけど忙しくて私の髪を
洗ってもらえなくなってちょっと寂しい気持ちも
あったりなかったり。。
でも良かった。
またひとつレベルがあがったんだね。
てててってってってー」
と思いながら彼女の働く姿を見ていた。
矢先のその話である。
「せっかく何年も頑張って美容師になれたんだから」
という気持ちが自分の中にでてきたり、
人から言われたりもしたと思う。
でも別の仕事をいちから始める選択を選んだ彼女。
私はとてつもなく心が打たれた。
全然別の道といえど、
きっと美容室で学んだことはこの先もいかせるし、
経験は無駄にはならない。
でも多くの場合が
「ここまでこれをやったから今更別の道を」と
思いとどまる場面で、
新しい方に足を踏み出す彼女はとてもかっこよく見えた。
姉さんの後ろ姿、眩しいっす!!(私の方が年上だけど)
「なんか自分さっき埼玉征服とか言ってすいません」と謝っておいたが、
ありがとう!という気持ちになった。
私はきっと彼女の話を聞くために
今日美容室に行ったんだと感じた。
ここ数日の雲が漂っているような感覚が
少しずつ晴れて行くような感じがした。
もっと自分の気持ちに自由に許可を与えよう。
本当の心の声に耳を傾けて。
誰かの顔色や、不安も、恐れることも、
自分が嫌なことなんて何ひとつ起きないとしたら。。
心の声はなんと言ってる?
本当は何をしたい、どこへ行きたい、
どんな話がしたい、誰に会いたい。
それをかなえてくれるのは他人じゃない。
その声を尊重した自分だ。
その声を引っ張りだした自分だ。
その声を信じた自分だ。
何度も何度も自分や周りにいる人に言った。
自分の言葉をまた噛みしめる。
我慢するために、悲しい気持ちになるために、
苦しむために、犠牲になるために生まれたんじゃない。
幸せになるために生まれてきたんだと。