月に涙は流れるか

写真-13

 

表情はいつでも

本当を表している訳ではないから

君の笑う瞳の奥に

涙が滲んでいる事くらいわかっている

 

違う

わかっていたい

 

それが全てといっても過言じゃないだろう

 

自分の影にさえ 怯えるような情けない夜を

何度も私は過ごしてきた

 

ひとりの帰り道に

ため息とともに情けない人間だと何度も呟いている

ついこの間だって そんな時があった

帰り道はどうしてこんなに優しいのだろう

月に慰められながら 私は歩いていた 考えていた

 

何故かそういう時に思うことは

 

「わかりたい」という言葉だ

それはきっと、わかってほしいからじゃないかと

自分に言う

そうだな

 

君は何を思うのだろう

何に苛立ち 何に悲しみ 何を

その綺麗な瞳に映すのだろう

 

勝手に弱気になって

私は情けないと思いながらも

それがまた人のために いつか いつかなるならと

歩いている途中

傷というのは私にとっては必要な一部だ 必ず必要な一部だ

 

君のその傷もまた 必ず必要な一部だと 思いながらも

傷ついてほしくないと思ってしまうのだ

君だけは 傷ついてほしくないと

 

それがまた少し 情けなさに拍車がかかる

 

月はなんでも知っているように

ただ黙って立っている

 

月よ

君にも泣きたい夜があるのか