母親の腕に抱かれて
優しくされていただろうか
物語を読む声は
温かく耳元に残っているだろうか
全ての人は時と共に次第に
強さを求められるようになる
傷ついても人前で弱音を吐かず
悲しくても明日も行くべきところに行く
孤独は恥ずかしいもののように
部屋の隅に隠しておくべきもののように感じる
子供の頃のような愛はもう手にできないのだろうか
あの頃は意識すら覚束ない
今の自意識の元でもう一度愛されたいと
願うのだろうか
終わりが全てだという言葉のように
それに怯えながら軽い会釈を繰り返し
人々がすれ違う街に埋もれ
誰からも見つけられず 特別な扱いも受けず
ただそこにあるもののようにただ息をするか
否
それは違うのだろう
全ての出来事は報われる日のために存在した
どんなに醜い形でも どんなに小さくても
どんなに謙遜しても どんなに否定しても
どんなに隠れていようとも
こちらから見つける
不安が憑き物のようについてまわるなら
憑き物ごと抱きしめられたら
どちらも安心するだろうか
それで傷つくとしても
それは勲章のようなものだ
いっそ消えない傷なら
いつでも覚えていられる
何事においても ものは考えようだから
噛み付いたって 撫でたって構わない
抱きしめ合うということは
抱きしめることと
抱きしめられるということ
愛されることを知って
愛することを知るということ
離れていても
変わらずに想っているよ